略奪 episode2 [小説]

私は悟史の大事な話というのが気になって仕方なかった。
仕事をしていても身が入らない・・・。こんなんじゃダメじゃん!
気持ちを切り替えるためにトイレに立った。

鏡の前で自分を見つめる。
私なんかしたのかな?なんか気に障る事したんだろうか・・・。
気持ちが切り替わる所ではなかった。化粧を直していると携帯が震えた。

香織だった。
<またぁ?もう何があったか分からないけど会えなくて安心しちゃうなんて困った子だwじゃあ気分転換しない?>
<気分転換したい!!>すぐに返信した。
<OK!明日、〇〇〇ビルに7時に待ってるから^^おいでよ~!>
香織には珍しく待ち合わせ場所と時間だけのメールだった。不思議には思ったけど気に留めずOKと返事をした。


土曜日は朝から洗濯・掃除を済ませ近所のスーパーに買い物に行った。そういえば・・・今日香織と遊ぶならいつものように駅で待ち合わせしてお店まで一緒に行けばいいんじゃないかとふと思った。買い物袋を提げながら香織にメールする。
<〇〇〇ビルに一緒に行かない?△△△駅で待ち合わせでどう?>
買い物から帰ってきて一段落したら香織からメールがきた。
<ごめ~ん実はもう外に出てんの。だから〇〇〇ビルには直接行くから^^>
<もう家にいないんだぁ~。了解だよ^^じゃああとでね~^^>
私はコーヒーを飲みながら録画して貯めていたテレビドラマを見てゆっくりしていた。

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ハッっと気がつくと夕日が部屋を赤く染めていた。
いつの間にか寝ていたんだ~・・・ボゥ~っとしていた。
ガバッと起き上がり時計を見るともう6時を回る所だった。
やばい・・・香織と約束してたんだ・・・・
ささっとシャワーを浴びてメイクをする。髪のセットに時間がかかってしまい
待ち合わせ時間に間に合いそうもない。こんな時に限って服にコーヒーをこぼしたり手間取った。
香織に遅れる事をメールする。
<〇〇〇ビル5Fの居酒屋★★★にいるから~^^私の名前出したら分かるようにしとくから
焦らなくていいよ~ゆっくりおいで^^>
違和感を感じた。香織はいつも一人で店に入りたがらない。けど悠長に考えてる暇はない。
<分かった!ありがとう~^^>と手早くメールする。
急いで支度をして部屋を出る。

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駅に着くと8時過ぎだった。足早に待ち合わせしてる居酒屋に向かった。
店は人で賑わっていた。レジで香織の名前を出すと個室に案内された。なにやら沢山の人が楽しそうに
大騒ぎしている声が聞こえてきた。
中に入ると私の目に入ってきたのは数人の男の子。香織が駆け寄ってきた。
「ゆっこ待ってたよー^^えー紹介しま~す!私の腐れ縁の滝沢優子ちゃんでーす!
ちょっとこういうの慣れてないからよろしく!」
香織はすでに酔っていてかなりテンションが高い・・・・。良く見ると知らない女性も何人かいた。
「ねぇー・・・ちょっとどういうこと?何なのコレ?みんな香織の友達なの?」
「何って・・・堅い事言わないの~wみんな友達だよ~。ちょっと・・・実はねそこにいる彼の事
気に入っちゃったんだ~だから、ごめんね~、ゆっこ適当に遊んでて・・・ね」とウィンクすると意中の彼の所へ
行ってしまった。


・・・・えっ・・・?適当に遊んでって・・・・私は居場所がなく立ち尽くしていた。
と、一人の男の子が声をかけてきた。
「ゆうこちゃんだっけ?こっちこっち~^^ここに座んなよ^^、ね?」
人懐っこい笑顔で思わず隣に座っていた。
「ねね^^ゆうこちゃんってどんな字書くの?俺ゆうじ^^優しいに次って書くんだ^^」
「私も優しいに子供の子」
「一緒だね^^仲良くしょー^^」と握手を求められた。
ぎゅっと握られた手を引き寄せられて、咄嗟に身構える。
私の耳元で優次は信じられない事を言った。
「優子ちゃんの事気になっちゃうな❤」と言って手を離した。
ドキッとした。
周りが気になって見回すと誰も私の事なんか気にしていなかった。
合コンって奴なのかな?まぁ別にそれだったとしてもどうこうなるわけじゃない、ただ遊ぶだけなら
いいかなと軽く考えてた。
「優子ちゃん何飲む?」
「あ・・・じゃあ私はハイボールを・・・・」
「へぇ~顔に似合わず渋い選択!じゃあ俺もハイボールにしよ❤」
と言ってみんなの注文を取っていた。


楽しもうと思ったけどやっぱり馴染めない。早いとこ帰ろう・・・・。
お酒も程よく飲んだ所で私は帰る決心をした。
その時優次が「どうしたの?楽しくない?」
終始私の事気にして話かけてくれていたんだけど、ダメだった。
「あ・・・いやそういうわけじゃないんだけど・・・知らない人ばかりでちょっと・・・」
「大丈夫!!みんないい奴だから^^」
ん~そういう意味じゃないんだよね~・・・でも言えない。
私の肩を抱いて「所で香織とはどんな知り合い?」と顔の覗き込むように聞いてきた。
私はどうしていいか分からず固まっていると
「あっ!ごめんね・・・馴れ馴れしいよな・・・w」と苦笑しながら手をよけた。
「香織とは・・・高校からの友達で・・・」
「そっかぁ香織にこんな純な友達がいたとはなぁ~・・・w」
「優次?今の聞こえたんですけど?(笑)」
「あぁ~わりぃわりぃw」
「優次?言っときますけど、ゆっこはダメだよ~。あんたには高嶺の花だよw大事な友達なんだから
あんたにはやれん(笑)」
香織の言葉が嬉しかった。私は友達が少ない。唯一の親友だから、香織も同じように大事に思ってくれてる
事が嬉しかった。それでもこんな友達がいるなんて知らなかったなぁ~。
「えぇー・・・狙ってたのに><まぁ香織に言われたからって引かないのが、俺!(笑)」


ドキっとして優次を見ると優次も私を見ていた。
「今の嘘じゃないよ?言ったでしょ?気になるって^^」
でも優次は遊び慣れてる感じだし、私をからかってるだけだろうと思っていた。
優次の顔をチラっと見ると私の好みの顔だった。
地味に優次を見つめていた。
「ん?どした?」私は視線を逸らした。
「もしかして・・・俺の事気になるとか?」と笑っている。
「そういうわけじゃなくて・・・優次君の顔今初めてちゃんとみたな~って思って」
「うわぁ~ひっどいなぁ。俺は初めから優子ちゃんしか見てなかったのに」
「うそばっかり!!」
「なんで?ホントだよ?ほらっ」と言って私の顔をじぃぃぃ~っと見つめた。
私が顔を逸らしても覗き込んだ。
「もぅぅぅ分かったから!」と笑って言うと
「優子ちゃん可愛いね^^笑ったら最高❤」と笑顔を見せた。
「優次君もイケメンじゃん。すごいモテそうだね^^遊び慣れてそうだね~」
「優子ちゃんって意外と毒舌だなぁ~俺ちょっと傷ついた><こう見えて硬派なんだけど(笑)」
「え?ごめん!!」
「あ、いや傷ついてない、ない!冗談だから!!(笑)」
「そうなの?でも硬派には見えないよ?」
「言うな~wおいおい!」と私の首を絞めるマネをした。
「やぁ~苦しい!放して~」
優次はじゃれ合ってる手を止め
「離したくないな・・・・」と言ってきた。

私はいつになくドキドキしていた。





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